2026.1.20

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親の家が「開かずの扉」になる前に。現場で感じる家族信託の必要性
執筆者:NOBORDERS不動産 小代
みなさんは、もし自分のお父さんやお母さんが認知症になってしまったら、その後の実家がどうなるか考えたことはありますか。
「子供であるぼくたちが管理すればいいから大丈夫」
「いざとなったら売却して、そのお金を介護費用にあてればいい」
そんなふうに思っている方が多いのではないでしょうか。でも、実は今の法律では、親御さんの判断能力が不十分だと判断されると、たとえ子供であっても勝手に家を売ったり、リフォームしたりすることができなくなってしまうんです。
今日は、空き家問題の現場でぼくが日々感じている「家族信託」という仕組みについて、難しい法律用語を抜きにしてお話ししたいと思います。
なぜ「親の家」が動かせなくなるのか
そもそも、なぜ親が認知症になると家が売れなくなるのでしょうか。
日本のルールでは、不動産を売ったり貸したりする契約を結ぶときには、本人の「しっかりとした意思」が必要になります。もし認知症などで物事を判断する力が弱まってしまうと、その契約は無効になってしまう可能性があるんですね。
そうなると、家を売るためには「成年後見制度」という国の仕組みを使うことになります。でも、この制度はあくまで「本人の財産を守ること」が一番の目的なので、家族の思い通りに家を処分したり、柔軟に活用したりするのがとても難しくなってしまうんです。
さらに、裁判所が選んだ専門家(弁護士さんや司法書士さんなど)に毎月報酬を払い続けなければならないケースも多く、家族にとっては精神的にも金銭的にも大きな負担になることが少なくありません。
そこで注目されているのが「家族信託」です。
家族信託は「お家のリモコン」を預けること
家族信託を簡単に説明すると、親御さんが元気なうちに「家の管理や売却の権限」というリモコンを、信頼できる子供に預けておく契約のことです。
ぼくがおすすめしているのは、以下のようなステップです。
親御さんが元気なうちに、子供と話し合う
「もし自分が判断できなくなったら、この子に家のことを任せる」という契約書を作る
名義を「信託」という形に変えておく
こうしておくことで、もし将来、親御さんが施設に入ることになったとしても、管理を任された子供の判断だけで家を売却し、そのお金を施設への入居費用に充てることができるようになります。
現場で多くの空き家を見てきて思うのは、家がボロボロになってしまう一番の原因は「誰も何も決められない状態」が続くことだということです。
例えば、雨漏りがしても修理の契約ができない、庭の木が隣の家に迷惑をかけていても伐採の判断ができない。そうして放置された家は、あっという間に地域の「お荷物」になってしまいます。家族信託は、そんな未来を防ぐための大切なバトンパスなんです。
お伝えしたいこと
家族信託は、決して「親の財産を奪うもの」ではありません。むしろ、大切な家族の資産を、最後まで家族のために使い切るための「愛のある準備」だとぼくは考えています。
不動産の現場にいると、親御さんが認知症になった後に「どうにかして家を売りたい」と相談に来られる方が本当に多いです。でも、その段階ではもう手遅れであるケースがほとんどで、ぼくたちも力になれないもどかしさを感じることがよくあります。
不動産は、人が住んだり活用したりしてこそ価値があります。空き家になって地域に迷惑をかけてしまう前に、そして家族が困ってしまう前に、まずは「もしも」の話を食卓で始めてみてください。
難しい手続きや専門的な設計は、ぼくたちのような専門家がサポートします。まずは、家族みんなが笑顔でいられる未来のために、一歩踏み出してみませんか。
